私、車の中で歌う人なのですが、原さんの「My Baby Shines On Me」歌っていたときに、急にそのポップさに強く惹かれてしまったのですね…(元々大好きな曲だったのですが)。
そこでアルバム「はらゆうこが語るひととき」を聴き返して見まして「これは良いなあ…」と改めて感じてしまったので、思わず筆を執ってしまった次第でございます。
例のごとく音楽的な事には触れられないので思ったことをつらつらと書いているだけなので、そのあたりはお許しください…。
1.My Baby Shines On Me
いやあポップです…。イントロから疾走感といいますかひたすらポップです。
「私はピアノ」やソロデビューシングル曲の「I Love Youはひとりごと」の歌謡曲感、といいますか少し気怠さの残るようなイントロで始まる曲と対照的で、後の「恋は、ご多忙申し上げます」や「ハートせつなく」といった原坊ポップ路線の元祖、と言える気がします。
原さんの歌唱にもかわいさ、といいますかふわっとした原さんボーカルのイメージがこの曲で現れ始めたようにも思いますね。
この年のサザンのアルバム「ステレオ太陽族」の1曲目「Hello My Love」はどこか曲調や歌詞を見ますとこの曲のアンサーソングといいますか男性目線の曲のように思うことがあります。
2.おしゃれな女(Sight of my court)
作詞作曲が斎藤誠さんの1曲。雰囲気がどことなく「別れ話は最後に」に近い気がします。
おしゃれな女、という曲名ではありますが、登場人物を学生時代の原さんを見ている桑田さんという風に見ますと何故かしっくり来てしまうのは私だけでしょう。
「冷たい月曜日」もなのですが、何となく誠さんが原さんに作る曲は桑田さんと比べて少しクール、といいますか少し距離があるような印象があります。
3.I Love Youはひとりごと
原坊ソロデビュー曲であり放送禁止となってしまった波乱の曲ですね。
きっと桑田さんが歌っていたら何も言われなかったと思うのですよね。多分原さんが歌っているというのと、それまでの「女呼んでブギ」や「I AM A PANTY(Yes, I am)」などの前科(?)があるのでここで1つお灸を据えてやろうという面倒くさい存在がいたのかもしれませんね。
台詞部分で最後にオカマちゃんが「やめてよ」というのはヤられてしまった…ということをよく見ますが、実はロンリープレイの事では無いのかと思ったりもするのです。だってI Love Youはひとりごと、なのですから…。
4.しっかりJohn-G
原さんの作詞作曲で「I Love Youはひとりごと」のB面だったということから、原さん初の世に出た自作曲となるのでしょうか。
John-Gとは何なのかと調べて見たのですが、某掲示板に桑田さんと色々な渾名で呼び合っていてその時原さんがそう呼ばれていた…とあったのですが事実なのでしょうか。
それを踏まえて失恋した原さん、という目線で聴きますと納得出来る気がしますが…。
5.うさぎの唄
作詞関口和之・作曲宇崎竜童という不思議な組み合わせの1曲ですね。まさか宇崎さんもHARABOSEによって童謡的サウンドになるとは予想出来なかったでしょう(?)。
シングルっぽくない曲調だけどもシングルカット、というのは当時のサザンの流れを汲んでいたのでしょうか。
後の「チャイナムーンとビーフン娘」や「あたたかな春の日に」もそう思うのですが、関口さんの作詞する原さんボーカル曲は、何と申しましょうか…原さんのこういう人生もあったのではないか…というような原さんのイメージからズレ過ぎず、なおかつ親近感のある世界観の曲になっているところの絶妙なバランス感が素晴らしい…と勝手に思っているのです…。
6.がんばれアミューズ
レコード盤ですとここからB面になる影響もあるのか、編曲がHARABOSEの曲から八木正夫とクレジットされる曲が多くなり、その1曲目ですね。そしてジャズですねえ。
会社の当時の重役の名前や給料への不満、そして途中で「エリー my love so sweet」と桑田さんが歌うといったお遊びが満載ですね。ただバックの演奏が八木さん編曲ということもあるのかちゃんとしている(失礼)…といいますかおしゃれですよねえ。
97年の年越しライブ「おっぱいなんてプー」でのジャズメドレー前のMCで桑田さんが、「ジャズの真似事のようなことをしていて…」と話していましたが、八木さんと2人で作曲したこの曲を含めた「はらゆうこが語るひととき」というアルバムのことはどう思っていたのでしょうかねえ…。
そして今年アミューズに関する云々な報道がありましたが、今この曲を聴きますとねえ…。「社員の立場になってね」という歌詞が身に染みます…(私はどのポジションにいるのだろうか)。
7.いにしえのトランペッター
全曲に続き、作詞桑田佳祐、作曲桑田佳祐&八木正生、編曲八木正生というクレジットの曲ですね。やはりこのあたりは色が違いますね。何と言いますか桑田さんと八木さんの実験といいますか、2人が交わった時の化学反応を探っていた時期だったのかも知れませんね。
いにしえのトランペッターとはルイ・アームストロングのことで間奏で桑田さんが物真似をしていますねえ。この翌年小林克也さんのバンド、ザ・ナンバーワン・バンドのアルバム「もも」に「My Peggy Sue」というルイ・アームストロングテイストの曲を提供しているので、この頃の桑田さんが嵌まっていた時期だったのかもしれません。
8.Loving You
ジャズ色の強い曲が2つ続いた中でこういう原坊流ポップスといえる曲調の曲がきますと安心感がありますね。
何と申しましょうか…シンプルなラブソング、といえる曲ですが、途中で桑田さんの歌唱部分があるなど、恋の成分がより濃いように思えます。
ドラムが弘さんなのも2人を見守っている感じがして良いですね(?)。
話題に出ることは少ないように思いますが、1998年に発売された原さんベストアルバムのタイトルがこの曲からとった「Loving You」だった、というのがなんか良いですよねえ…「やっと少しは大人になれるみたい」という歌詞が特別な意味を持った気がします。
9.幸わせなルースター
冒頭1分くらいは「おしゃれな女(Sight of my court)」のインストが流れます。分かりやすくいえば「夕陽に別れを告げて~メリーゴーランド」の逆バージョンです(かえって分かりにくい)。
ルースターとは気取った男・うぬぼれ屋という意味だそうです。ということは冒頭のインストはおしゃれな女とは対照的な人物という意味で付けていたりしているのかも知れませんね。
あと今までこの曲の作詞は桑田さんだと思っていたのですが、原さんの作詞だったのですねえ…。英語の使い方や「もっとはみだしていたれりゃ」などというところがとても桑田さんっぽいと思っていまして…。…それと「Let It Boogie」の歌詞の中で「幸わせ」とあったので、その先入観を持っていたのかも知れません…。
10.Last Single X'mas
ラストは再び桑田八木コンビの1曲、桑田さんにしては珍しく(?)シンプルなクリスマスソングになっていますね。後のサザン名義で小林武史さんが編曲に加わっている「クリスマス・ラブ(涙のあとには白い雪が降る)」や「CHRISTMAS TIME FOREVER」とサウンドを聞き比べるのも面白いのかも知れません。
しかし既に付き合っていることがある程度知られており翌年結婚するとはいえ、この時期に「Last Single X'mas」という曲名の歌を原さんに作る、というのはこっちが思っている以上に大きい意味があったのかもしれませんね…。
そんな曲をやさしくしっとりとした原さんのボーカルで堪能しアルバムを締める…というのは本当に美しいと思います。
さて以上でございます。
今更遅すぎるかもしませんが、改めて名盤だな…と。それに平成の最後の最後で気が付くことが出来て良かったですね…。
こういう不意な気付きに次の時代でも巡り逢いたいですね…。