適当文集

140文字でも書けそうな事を引き延ばして雑に書くところ

アルバム「さくら」について書いた、さくらを呟くのかいのまとめのようなものを

noteにて連載(?)していました、1998年にはつばされました、サザンオールスターズのアルバム「さくら」収録曲について、勝手にだらだらと書いていく、という企画のまとめのようなものでございます。

あちらで書いていたのに今更まとめる必要があるのか、という声もあるかと思いますが(そこまで興味持たれてないから大丈夫よ)、雑誌の連載が単行本化した、くらいのお気持ちで捉えて頂ければ(?)。

そして大変長くなっております…。

 

 

1.NO-NO-YEAH/GO-GO-YEAH

昔の個人ファンサイトには、新曲オンエアの予告なしで突然の初解禁だった、と書かれていた記憶がありますが、もしそうであったのならば、前年の1997年に「01MESSENGER~電子狂の詩~」というシングルを出しているとはいえ、次のアルバムが所謂ハードロック寄りの作品になると、ここで改めて明確に示された瞬間でもあったのでしょうか。
語感重視の歌詞とは言え歌い出しが「赤いビニール繊維」というのもなかなかない曲ではないのでしょうか。
このアルバムの収録曲は補足が多めに付けられていますが、ナイチンゲールにはあってDoraemonにはないのは何故でしょうか(?)(まああのDoraemonなのか、はたまた別の意味があるのか…という妄想の余地があるのが良いのですが(あのドラちゃんでしょ))。
途中に出てきます「さくらが咲いた」という歌といいますか台詞部分は逆再生で作られたものということですが、10月という「秋」の時期に発売された「さくら」というアルバムの何処か季節違いの狂い咲きを思わせる感じがありまして、そんな曲がアルバムの1曲目である、というのが狙っていたのかは分かりませんが非常に面白いと思ってしまうのですよね。
…と書いていましたが、発売当時の桑田さんのインタビュー記事を見まして、このギターリフが気に入ったこと、今までのサザンになかった感じが「海のYeah!!」は終わり、サザンとして究極的に尖ったところへいくという意思表示もあった、ということだったようですね。
ライブでは
・Se O no Luja na Quites(セオーノ・ルーハ・ナ・キテス)~素敵な春の逢瀬~(1999年)
茅ヶ崎ライブ~あなただけの茅ヶ崎~(2000年)
と、2回披露されています。茅ヶ崎ライブでの披露は何と申しましょうか…。2000年の「夏」に咲く「さくら」はこのNO-NO-YEAH/GO-GO-YEAHだった…というのはまた曲中の「さくらが咲いた」にかかった「浜辺に咲いた紫の涙」とはまた違うサザンの花の1つを見せた瞬間だったと思うのですよね…。

発売当時公式サイトで行われたさくら人気投票では12位

 

2.YARLEN SHUFFLE~子羊達へのレクイエム~

発売当時に公式サイトで行われた「さくら」収録曲人気投票でシングル4曲をも抑えて1位を獲得したのがこの曲でした。投票理由として「歌詞」を挙げている方が多かったですね。日本語だと思わなかった、歌詞のメッセージ性などというコメントがありましたね。サラバ(sarva)は日本語でなくサンスクリット語、という補足が入っているように、このアルバムは特に歌詞へのこだわりといいますか、そういう意味合いを知って貰いたい、というのが強く表れている感がありますね。そして日本語詞だけれども英語に聞こえる、所謂桑田流歌唱が全面に出ているというのも大きな要素だったのではないのでしょうか。もちろん改めて歌詞を見てもらいたい、という思いもあったのかもですが。
歌詞もそうですが、サウンド面でも意外とサザンの中ではこの曲と近い、似たような曲調の曲が実はあまりないような感じがあるのですよね(詳しい方からすればこれはこういう系譜で近いなどとあるかと思いますが…(まさに「嗚呼跳梁跋扈する系譜を見…」ですね(?)(言いたいだけシリーズ)))。そういったサウンド面での新しさやインパクトといった面が投票1位に繋がったと思ったりもしたのです。
最後の最後、フェードアウトする中で「YARLEN SHUFFLE」を絶叫するように歌う桑田さんがかすかに聞こえるところが個人的には大好きなところだったりします、
アルバム収録曲投票1位、という実績を持っているのにも関わらずライブでは、
・Se O no Luja na Quites(セオーノ・ルーハ・ナ・キテス)~素敵な春の逢瀬~(1999年)
とさくらのアルバムツアーでの1度きりの演奏に留まっておりますね。
しかし去年末のM-1グランプリで、この曲からコンビ名を付けたという「ヤーレンズ」が準優勝という結果を収め(つまり実質1位と2位の実績を持つ曲とも言えるのですね(?))、桑田さんも年明けに夜遊びでその事に付いて触れていましたし、次回のライブで25年ぶりの演奏となりますか、注目されるところでありますね。

 

3.マイ フェラ レディ

…さて、どうしましょう…。とのっけから曲名に早くもノックアウト寸前でございますが(?)進めて参りましょう。
ジャンルとしましては所謂1つのジャズとやらになりますでしょうか(皆様そういうので、そうでしょう(無知))。アルバム発売前年の1997年に行われたネット配信企画「01MESSAGE」の中で、「美しく青きドナウとは程遠い音楽(仮題)」という仮タイトルの状態で披露されています。この番組の中では未発表曲が3曲披露されており、歌詞などに違いがありますが、この曲は歌詞は既に完成されておりほぼほぼ正式音源版に近い形になっていましたね(サウンド等細部の違いは分かってないおじさん)。でもまさかこの仮タイトルからこの曲名に正式決定するとは思いませんよね…。ネタ元の「マイ フェア レディ」さんもさぞかしびっくりだったことでしょう(?)。
1996年の「Act Against AIDS’96 夷撫悶汰レイト・ショー~長距離歌手の孤独 in Jazz Cafe~」はこの名の通りジャズをテーマにしていましたし、自らもそういったジャズを作りたい、という思いがあったのでしょうか。その夷撫悶汰をきっかけに出会った、島健さんが編曲とピアノで参加されていますね。編曲名義が島健サザンオールスターズとなっていますので島健さん主体の編曲だったことが分かりますね。
歌詞はフランス語に聞こえる日本語詞、という桑田さんワールド全開となっていますね(その内容を含め)。後に「パリの痴話喧嘩」でも同じような手法を見せていますが、こちらはより暴走している感がありますね。前回も書きましたが「YARLEN SHUFFLE~子羊達へのレクイエム~」では英語に聞こえる日本語詞というのを見せていますし、歌詞へのこだわりとある種の難解さ、そしてそれぞれ凝ったサウンド…と1曲目からここまで「さくら」の色をこれでもか、と見せ付けてきているのが、新しいサザンとして物凄く攻めてきている感じがあるのですよね…。
2007年1月20日の夜遊びでは、Four Freshmen and 5 Trombonesの「Angel Eyes」を流した後、「マイ フェラ レディに似てるでしょ?」「マイ フェラ レディはこの曲を参考にしました」と発言しておりました(もしかするとその前にも話していたのかも知れませんが)。
ライブでは、
・Se O no Luja na Quites(セオーノ・ルーハ・ナ・キテス)~素敵な春の逢瀬~(1999年)
と現段階で1度のみの披露となっておりますね。
曲が始まる前のOverture的な感じでブラスによるスローな勝手にシンドバッドが使われておりましたね。ちなみにこれは01MESSAGEで披露された時にも使われていたアレンジでした(…とつい最近知った)。
ちなみに桑田さんはインタビューでこの曲の歌詞について原さんに何か言われましたか?と聞かれていますが、「原坊は何も言わないですねぇ(笑)」とのことで…。流石サザンのフェアレディでございます(?)。
発売当時公式サイトで行われたさくら人気投票では7位

 

4.LOVE AFFAIR~秘密のデート

今更何を書く必要があるのかしら…な曲でございますね(2曲続けて余計な前置きを付けるんじゃない)。
弦編曲のクレジットには島健さんのお名前がありますね。2010年の桑田さんがお休みで斎藤誠さんが代行DJをしていた期間で島健さんのゲスト回があった(11月27日)のですが、この中で始めて参加された曲と話していましたが、前回の「マイ フェラ レディ」にも書いたようにこちらの曲の方が先に出来ている感じはありますが、先に世に出た曲が先、ということなのでしょうか…(ちょこちょこ直しがあって完成は後だったのかもしれませんが)。
作詞は横浜のガイドブックを参考に作られた、ということでしたが、当時のファンの方は該当のガイドブックを探したりしたのでしょうか…。桑田さん曰く「いかにも桑田が知ってそうなユーミンとは別ルートを行く横浜デートコースっぽいでしょ」とのこと。
とはいえ「大黒埠頭で虹を見て」は桑田さんの勘違いで実際には虹(レインボーブリッジ)は見れない(ベイブリッジが見れる)、という説明がWikipediaなどで見られますが、結果的にはこの間違いによって、よりこの不倫がフィクションの物語、というある種の綺麗さを持った、まさに「夢」の物語になったのではないのかな、と思ったりもするのです。
この曲、アルバムですと4曲目ではありませんか…。「NO-NO-YEAH/GO-GO-YEAH~マイ フェラ レディ」までの3曲がまた濃い曲ではありませんか。そこにイメージのサザンらしいポップさが来るというのが、1985年のアルバム「KAMAKURA」での「Computer Children~古戦場で濡れん坊は昭和のHero」という3曲からの4曲目「愛する女性とのすれ違い」に近いある種の「安心感」のようなものがあると思うのですよね…。
サザンでは(多分)珍しくイントロがカワチョーことプログラマー角谷仁宣さんによる音出しになっている、ということもあるのか演奏初期のライブでは桑田さんが「カワチョー!」と叫んでからイントロが始まる、ということが何度かありましたね。
そんなライブでは、
・おっぱいなんてプー(1997-98年)
・スーパーライブin 渚園『モロ出し祭り~過剰サービスに鰻(ウナギ)はネットリ父(チチ)ウットリ~』(1998年)
・Se O no Luja na Quites(セオーノ・ルーハ・ナ・キテス)~素敵な春の逢瀬~(1999年)
・晴れ着DEポン(1999-2000年)
茅ヶ崎ライブ~あなただけの茅ヶ崎~(2000年)
・ゴン太君のつどい(2000-01年)
・暮れのサナカ(2004-05年)
・みんなが好きです!(2005-06年)
・真夏の大感謝祭(2008年)
・SUPER SUMMER LIVE 2013「灼熱のマンピー!! G★スポット解禁!!」(2013年)
・ひつじだよ!全員集合!(2014-15年)
・キックオフライブ2018「ちょっとエッチなラララのおじさん」(2018年)
ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2018(2018年)
・“キミは見てくれが悪いんだから、アホ丸出しでマイクを握ってろ!!”だと!? ふざけるな!!︎(2019年)
・ほぼほぼ年越しライブ2020「Keep Smilin’〜皆さん、お疲れ様でした!! 嵐を呼ぶマンピー!!~」(2020-21年)
茅ヶ崎ライブ2023(2023年)
ソロでも
Act Against AIDS’98 オールリクエストショー(1998年)
・伊豆だらけのローラ(2000年)
・宮城ライブ〜明日へのマーチ!!~(2011年)
と演奏しないライブの方が珍しいくらいの演奏率となっております(文章よりもこっちの項目の方が長いのは内緒…にもなりませんね)。
ライブでは最初のご登場(おっぱいなんてプー)がアンコールだったこともあるのか、アンコールでの多い印象ですが、全体で見ますと序盤・中盤・終盤とどのポジションでも起用された経験があり、その使い勝手の良さも演奏率の高さに繋がっているのでしょうか…。
近年ではボウリング場での格好付けのリアル化(?)と共に(2018年「キックオフライブ2018「ちょっとエッチなラララのおじさん」」からでしたでしょうか…)アウトロでロネッツの「Be My Baby」を歌う、というのが定着しておりますね。

発売当時公式サイトで行われたさくら人気投票では4位

 

5.爆笑アイランド

「YARLEN SHUFFLE~子羊達へのレクイエム〜」と並び所謂社会風刺枠の曲、といったところになりますでしょうか…。こちらはアルバム発売時のミュージックステーションでも披露されていましたし、アルバムのリード曲という扱いだったのでしょうか。
ネット配信企画「01MESSENGER」では、「川長の子供(仮題)改め白鳥の湖とはかけ離れた音楽(仮題)」という仮タイトルで披露されていました。歌詞は完成版とはだいぶ違うものになっていますね。間奏でのラップといいますか、台詞といいますか、あの演説部分は「もう少し笑いが欲しかった」ということで最後の方に足したそうですね。その笑いが欲しかった、というのがタイトルの爆笑にもかかっている感じがありますし、何よりこの台詞部分を曰くインターネットで検索して作った、というのが、「01MESSENGER」ということにもかかっているようにも見えて面白いですし、そんな曲が実質アルバムリード曲にもなった…というのがまた興味深いと思ってしまうのです。
アルバムでは「LOVE AFFAIR〜秘密のデート」の次ということもありデジタルサウンドの流れとなっていますね。こう見ますと、さくらはハードロック路線とも書かれたりしますが、(当たり前ですが)そういう括り一辺倒では語れない、語らせないというような幅といいますか、そういうコンセプトでは終わらないという何でもありがサザンなのかしら…と。
ライブでは
・Se O no Luja na Quites(セオーノ・ルーハ・ナ・キテス)~素敵な春の逢瀬~(1999年)
・晴れ着DEポン(1999-2000年)
茅ヶ崎ライブ~あなただけの茅ヶ崎~(2000年)
・真夏の大感謝祭(2008年)
・ひつじだよ!全員集合!(2014-15年)
と定期的に演奏されていますね。ライブにおける社会風刺枠という感がありました「ニッポンのヒール」からポジションを譲り受けたようなイメージが個人的にはありますね…(実際このライブ以降ニッポンのヒールはライブで演奏されていない)。野外ライブに年越しライブ、中盤・メドレー・終盤と季節やポジションを問わずに起用されている、というのもライブで使いやすい曲、というのを表しているのではないのでしょうか。
発売当時公式サイトで行われたさくら人気投票では5位

 

6.BLUE HEAVEN

記念すべき40枚目シングルのA面曲であり、サザンには珍しい秋にシングルとしてリリースされた曲でもありましたね。その8cmシングルをパソコンで読み込むと特設サイトでPVを見ることが出来たそうですが、前作シングル「01MESSENGER〜電子狂の詩」でネットやパソコンについて危機感を表わす歌詞を歌っていてからのこのCDの仕様、というのが、どこか皮肉といいますか、ある意味でサザンの多面体感だったり前作との繋がりを持った感じがありますね。
サウンド的にも01MESSENGERのロックサウンドから、繊細なバラードサウンドと真逆なところを付いてきているという感じがありますね(とはいえ「さくら」の曲はロック調の曲でも繊細に、荒っぽさを感じない作りになっているような感じがしますが…)。
発売時期が近いこととバラードシングルという点から「TSUNAMI」と比べられる印象があり、どちらが好きか、という論争を昔のサイトではちらちらと見た記憶があります。サビの英詞のように英語の多いこの曲と殆どが日本語詞で書かれたTSUNAMIという違いがこの売り上げの差になったのでは…というような考察をされている方がいてその一言が今も残っているのですよね。と書いていて思ったのですが、この曲とも歌詞に「夏」は出てきますが、夏を振り返る曲であり、リリースも夏ではない、でも夏曲に扱われがち…という点も共通しているのですよね。まあ秋に「さくら」というアルバムを出すくらいですから…。
ライブでは
・おっぱいなんてプー(1997-98年)
・シークレットライブ’99 SAS 事件簿in歌舞伎町(1999年)
・ゴン太君のつどい(2000-01年)
・真夏の夜の生ライブ~海の日スペシャル~(2004年)
・ひつじだよ!全員集合!(2014-15年)
と披露されていますが、実は全国ツアーでは1度も演奏されたことがないのですよね。横浜、時々東京という関東エリアでしか演奏されていない曲でもあるのですよね。しかも現時点では年越し(横浜アリーナ)→ファンクラブ限定ライブ(ライブハウスキャパ)→年越し…というサイクルで披露されているというのも興味深いですね。BLUE HEAVEN…青い天国は関東にあったのです(?)。
発売当時公式サイトで行われたさくら人気投票では6位

 

7.CRY 哀 CRY

ハードロックサウンドに古文の歌詞、という挑戦的な1曲でもありますね。B面だからこその挑戦だった…と言いたいところですが、タイアップ付き(三菱電機CM)というのも、ドラマの主題歌でもあったA面の「PARADISE」と共に挑戦的で新しいことをしているけど、(良くも悪くも)サザンだから許される、というところがあったと思うのですよね。
サザンには「和」を感じるテイストの曲があったりするではないですか。例えば「愛の言霊〜Spiritual Message〜」や同じく古語を交えたような歌詞の「JAPANEGGAE」だったりと。この辺りの曲は色々な音楽的要素が混ざり合った結果「和」のテイストになっていった感があると思うのですよね。こうサザン的和を醸し出す、ではなくサウンドをロック色で染め上げたところに、古文という「和」を歌詞に良い意味で無理矢理はめ込んだような、一見ミスマッチになりそうなのだけど、絶妙なバランスを持った他の「和」テイストの曲とは違う1曲になったのかしら…と。
ちなみに2019年の夜遊びでこの曲を流した際に桑田さんは「A面のPARADISEよりもいいね」と話しておりました。
ライブでは
・スーパーライブin 渚園『モロ出し祭り~過剰サービスに鰻(ウナギ)はネットリ父(チチ)ウットリ~』(1998年)
・Se O no Luja na Quites(セオーノ・ルーハ・ナ・キテス)~素敵な春の逢瀬~(1999年)
・“キミは見てくれが悪いんだから、アホ丸出しでマイクを握ってろ!!”だと!? ふざけるな!!︎(2019年)
と3回披露されていますね。ちなみに終盤のセリフ風な感じで登場する「ますらをや〜」のところですが、渚園は桑田さん、セオーノは清水美恵師匠、ふざけるなツアーではTIGERさんとそれぞれ担当する方が違ったりするのですよね。
ちなみにDVD「SPACE MOSA」にはこの曲のライブ映像がマルチアングルで収録されており、様々な角度から見ることが出来る、というサザンの中では珍しい映像テイクがあったりするのです。
発売当時公式サイトで行われたさくら人気投票では16位

 

8.唐人物語(ラシャメンのうた)

アルバムに1曲入ります原さんボーカル曲でございますね。当時の代官山通信を見てみますと(第66号)、レコーディングは1998年の4月からと記載があり、まさに春の時期なのですよね。「NO-NO-YEAH/GO-GO-YEAH」には逆再生されたセリフ的「さくら」は出てきますが、歌詞カードに表記されしっかりと歌っている「桜」はこの曲だけですから原さんがこの「さくら」というアルバムの春要素を独り占めしているということになりますね(?)。実際桑田さんはインタビューで「桜」は他の曲で使わずに原さんの曲で使いたかった、と述べています。
この前年には原さんソロシングルとして「涙の天使に微笑みを」が発売されていましたが、こちらの曲もサウンド面では似た繊細さがあるといいますか、音の作り方を細かいところまで見て作っている感じがありますね。もしかすると「涙の天使に微笑みを」は元々さくら用に製作していた曲を朝ドラの話があって、原さんのソロ曲になった…みたいな流れがあったのかもしれませんね。個人的には唐人物語の方がもう少し打ち込み要素が薄いといいますか、生っぽさのようなものを感じるのですが…。
歌詞は実在の人物、唐人お吉についてとなっていますが、サザンの中では唯一の女性である原さんに歌ってもらうなら、世の中で強い意思を持って生きたお吉のような、女性の強さのようなものをテーマにしたかった、というようなことを桑田さんは話しておりますね。
ライブでは
・Se O no Luja na Quites(セオーノ・ルーハ・ナ・キテス)~素敵な春の逢瀬~(1999年)
・ゴン太君のつどい(2000-01年)
原さんソロでは
原由子スペシャル「はらばん」鎌倉ライブ(2010年)
と披露されています。更に珍しいところでは、
Act Against AIDS’98 オールリクエストショー(1998年)
で桑田さんボーカルバージョンとして披露されているのですよね。しかも原さんがライブで披露される前にしれっと歌ってしまうというのもかなり珍しいことではありますね(去年2023年のようにやさしい夜遊びで「私はピアノ」を生歌で披露したというようなことはありますが)。もちろんオールリクエストショーということで桑田さん版も聴きたい…というのももちろんあったと思うのですが、原さんに歌ってもらうために…という前提で作った曲でしたから、そういう曲だからこそ逆に自分自身でも歌ってみたい、というような想いもあったりしたのかもしれませんね。
発売当時公式サイトで行われたさくら人気投票では8位

 

9.湘南SEPTEMBER

サザン=湘南、というのは一般的にもファンの間でもイメージの1つとしてあるとは思うのですけど、長いキャリアの中で曲名に「湘南」が入るのはこの曲のみで、歌詞の中に入るのも6曲のみ(この曲以外ですと、勝手にシンドバッド・Bye Bye My Love(U are the one)・東京サリーちゃん・メリージェーンと琢磨仁愛の言霊~Spiritual Message~)で2024年5月現在では最後になっているという、ある種の意外性を持った曲ともいえるのかもしれませんし、9月という秋がテーマとなっている曲だからこそ「さくら」というアルバムに収録されたのかもしれませんね。
曲調はワルツとのこと。そうなのですね…(無知)。
「雨は子守唄」という後に雨の音が入るというのはベタなのかもしれませんが、また良いですよね。ただ雷らしき音が入っているのが、その後の「夢見る間もなく大人になるのさ」に繋がっているような、子守唄と大人のある種の境界線にもなっているような感じにも思えてしまうのですよね…。
さくらのツアーだった「Se O no Luja na Quites(セオーノ・ルーハ・ナ・キテス)~素敵な春の逢瀬~」ではBLUE HEAVENやSEA SIDE WOMAN BLUESなどと夏寄りバラードソングと共にセットリストから外されてしまいました、ライブでは
・暮れのサナカ(2004-05年)
での1度きりの演奏になっていますね。前年発売されたイメージDVD「Inside Outside U・M・I」に収録されているので、その影響もあったのかもしれません(余談ですが「Inside Outside U・M・I」の湘南SEPTEMBERは写真がスライド風に使われていて個人的にはあの映像が好きなのですよね…)。このDVDに収録された曲は基本本人が好きな曲という感じですので(桑田さん自身の選曲なので当たり前かもしれませんが)、タイミングが合えば今後もライブでお目にかかれるチャンスがあるのかもしれませんね。最もこの(大きく括れば秋というよりも)夏のバラード枠は大激戦になるというのが難しいところなのかもしれませんね。
発売当時公式サイトで行われたさくら人気投票では9位

 

10.PARADISE

デジタルサウンドの「愛の言霊〜Spiritual Message~」を目指した感じがありますね。和風から洋風へ、と言った感じでもありますでしょうか…。「さくら」のリリース前の先行シングルと言うこともあるのかデジタル色が強いA面曲、B面の「CRY 哀 CRY」がハードロックな作風と、さくらの二面性、もしくは多面性の中で大きくスポットを浴びている曲調をこのシングルで表わしているという見方も出来ますでしょうか。
「核」についての歌詞になっていますね。「「PARADISE」みたいな曲調だったら、そういう不安材料を詞に乗せても許される・煙たがられないと思ったんです。」と桑田さんはインタビューの中で話していますが、後の「ピースとハイライト」や「Relay~杜の詩」にも通ずるところがあるようにも思うのですよね。「PARADISE」も今リリースされればこの2曲のような話題に巻き込まれていたのかも知れません。幸か不幸か当時はその辺りについてそれほど話題になっていなかったようですが…。
代官山通信第66号に載っています、スタッフインタビューによりますと、ボツになった膨大なラップが存在したようですね。
42枚目のシングルと日本では忌み嫌われる42(死に)番に当たるというのが、ある種歌詞のテーマとしても、その後の曲の運命(セオーノ以降演奏されずでベスト盤「海のOh,Yeah!!」にも収録されずという不遇)を暗示していると言えばそうなのかもしれませんね…。
20周年緊急特番「バカさわぎの腰つき!!」の中でザ・ベストテンが復活という企画があり、その中でこの曲が披露されたのですが、曲紹介の際、司会の久米宏さんが「原さんは最初夕焼けの歌と思ったそうです」と話していましたが、その後代官山通信内にて(第66号)、「最初に「空は真っ赤に燃えている」のセリフ部分だけをみて夕焼けの空を思い浮かべたけど歌詞全体を読んで本当の意味は違うことに気付き、ぞっとするというか鳥肌が立った(要約)」というような内容を演出の方に話したのを短くされてそうなってしまった、とありますね(原さんらしい可愛さに溢れた(本人曰く)言い訳は前後含めて原文を見て欲しいものです…)。
ライブでは、
・スーパーライブin 渚園『モロ出し祭り~過剰サービスに鰻(ウナギ)はネットリ父(チチ)ウットリ~』(1998年)
・Se O no Luja na Quites(セオーノ・ルーハ・ナ・キテス)~素敵な春の逢瀬~(1999年)
とシングル発売直後と収録アルバムのツアーでのみの披露となっていますね。
…「棺の中で I called your name.」とは自分自身を指していたのかも知れませんね(?)。
発売当時公式サイトで行われたさくら人気投票では15位

 

11.私の世紀末カルテ

シングルですと「LOVE AFFAIR〜秘密のデート」の、アルバムでは「PARADISE」の次の曲という位置になっていますね。更にベストアルバム「海のOh, Yeah!!」では「涙の海で抱かれたい〜SEA OF LOVE~」と、サザン的ポップソングであったり、打ち込み中心の凝ったサウンドの曲の次にギター1本の曲が始まる、というのは逆にインパクトがありますね。そういう並びを各収録作品でしているということはある程度狙っているのでしょうか…(もしくは置き所が難しいからこそ、敢えてそういう並びにせざるを得ない、というのもあるのかもしれません)。
最後の方にオルガンが入りますとはいえ、ギター1本にハーモニカという所謂桑田さんソロアルバム「孤独の太陽」のコンセプトと同じ形で作られた曲ではありますが、「孤独の太陽」収録曲にあったような「怒り」や「毒」はない、といいますか、良い意味で不惑を越え、中年と呼ばれる年齢になったからこその「愚痴」・「ぼやき」の側面が強い曲になったということではないのでしょうか。前回のアルバムが「Young Love」で、この曲のリリースがデビュー20周年を迎える直前のタイミングということもありましたし、だからこそ若さから年を重ねてのリアルさが出たのかしら…と。それにサザンと共に年を重ねたファンも共感しやすい感じも出たのかしらとも思うのです。
ライブでは
・Se O no Luja na Quites(セオーノ・ルーハ・ナ・キテス)~素敵な春の逢瀬~(1999年)
・シークレットライブ’99 SAS 事件簿in歌舞伎町(1999年)
・ゴン太君のつどい(2000-01年)
ソロでも
・ライブ in 神戸&横浜 2011〜年忘れ!! みんなで元気になろうぜ!!の会~(2011-12年)
で演奏されていますね。
ライブではそれぞれ替え歌バージョンとして披露されています。特にセオーノでは各会場で歌詞が変わるという非常に凝ったことをしていますね。でも最後7番の歌詞はそのままなのがまた良いのですよね。歌舞伎町ライブは最後にドラムが入ったりとバンドサウンドっぽくなっているアレンジも良いですよね。少ししか見れないのが残念ではありますが。
個人的には原曲バージョンでライブで聴いてみたいなあ…と。何と申しましょうか…。あの1998年に世に出たあの歌詞そのものと時代がまさに世紀末という雰囲気を纏っている感じがありまして、その一種の生々しさがとても好きなのですよね…。
発売当時公式サイトで行われたさくら人気投票では10位

 

12.SAUDADE~真冬の蜃気楼~

秋にリリースの「さくら」に真冬とタイトルに入る曲が収録とはいよいよ混沌を極めておりますね(?)。しかし季節を網羅する中で、所謂「真夏」を外して来ているのが、それまでのサザンイコールというイメージからの脱却を狙っていたことが伝わってくるといいますか…。
希望の轍」に「君だけに夢をもう一度」、「HOTEL PACIFIC」といった曲の歌詞に使われていますが、(サブとはいえ)タイトルに「蜃気楼」が使われているのは現段階でこの曲が唯一となっていますね。
真冬、といいつつもあまり冬のような寒さを感じないといいますか、曰くラテン歌謡曲的ということであるとのことで、歌詞に出て来る土地がブラジルですから、そういった歌詞からの雰囲気が寒さを感じさせにくいといったところでしょうか。
歌詞といえば補足もまた多い曲ですね。タイトルである「SAUDADE」、「イエマンジャー」に「アフォシェ」と。補足にはありませんが「コルコバードの丘」ともちろん分かる人には分かるのでしょうが、ブラジルが舞台ということを分かりやすく伝えようという意図も多少はあったのでしょうか。何となくこのブラジルが舞台の詞、というのもある種「LOVE AFFAIR〜秘密のデート」的なガイドブック等を参考にした作詞だったのかしら…と。
キラーストリートの「セイシェル〜海の聖者」も逃避行ではありませんが、異国曲ともいえますし、一種のシリーズ物としても聴けるのかもしれません。
ライブでは
・Se O no Luja na Quites(セオーノ・ルーハ・ナ・キテス)~素敵な春の逢瀬~(1999年)
・暮れのサナカ(2004-05年)
・ひつじだよ!全員集合!(2014-15年)
・“キミは見てくれが悪いんだから、アホ丸出しでマイクを握ってろ!!”だと!? ふざけるな!!︎(2019年)
また
Act Against AIDS’98 オールリクエストショー(1998年)
で披露されていますね。曲のテーマ故か年越しライブか春のツアーで披露、という形になっていますね。そしてリクエストがあったとはいえ、AAAでは「唐人物語(ラシャメンのうた)」と共にセオーノツアー前に演奏されていますね。ベストアルバム「海のOh, Yeah!!」にも収録され「さくら」の中ではライブ登場数も多めではありますし、桑田さんのお気に入り曲なのでしょうか。
発売当時公式サイトで行われたさくら人気投票では2位

 

13.GIMME SOME LOVIN'~生命果てるまで~

アルバムに1曲はあります、ライブでの煽りパート担当枠ソング、といったところでしょうか。
歌詞のテーマは所謂「SM」でございますね。この曲以前にも桑田さんソロアルバム「孤独の太陽」収録の「エロスで殺して(ROCK ON)」で歌われていましたが、何と申しましょうか…。エロスで殺しての方がどちらかといいますと女王様(S側)を主に書いているのに対して、この曲はやられる方(M側)の様子だったり心境を書いていたりと若干目線が違う感じがあるのですよね。この頃はサザンとソロの違い、というところをある程度明確に分けていましたし(といいつつ「私の世紀末カルテ」という当時としてはちょいと扱いがソロよりな曲が「さくら」に収録されてはいますが)、サザンは「M」、ソロは「S」という違いで区別していたのですね(?)(しかし私は何を解釈して書いているのだろうか…)。
サウンド面でも桑田さんがギターリフから考えた、とインタビューで答えていましたし、ある程度ロックサウンドを前提として作っていたこともあるのか、生音でシンプルな作りだったエロスで殺してと比べても、電圧が高めな感じになっているのも、歌詞のテーマは同じであっても切り口が違うというのがまた面白いですね。電流マッチですね(?)(それSとMは関係無い)。
ライブでは
・Se O no Luja na Quites(セオーノ・ルーハ・ナ・キテス)~素敵な春の逢瀬~(1999年)
での1度のみの披露に現段階では留まっていますね。昔の個人サイトには確かサビで腕を上げ下げするという振りがあった…と書いてあった記憶があるのですが、今それを覚えている方はどれだけいらっしゃるのでしょうか…。となりますとセオーノは「みんなのうた」・「ブリブリボーダーライン」・「イエローマン〜星の王子様〜」にこの曲と客席が腕を動かす曲が煽りコーナーに総登場でもあったのですね。新しいサザンを見せる、というのもありましたし、その中でどう楽しんでもらう・参加してもらうか…という試行錯誤が同時に見えたような気がします。
あと超が付く個人的お話になりますが、この曲歌うのがとても楽しいのですよね…。いつも車の中で急にテンションが上がっている変人でございます。変人物語(蛇足)。
発売当時公式サイトで行われたさくら人気投票では11位

 

14.SEA SIDE WOMAN BLUES

この曲好きなのです…(のっけから自分の話かい)。そういえば2008年の「真夏の大感謝祭」の時にライブで聴きたい曲の投票があったのですが、その時に投票したのはこの曲だったのでした…と思い出すなど。
所謂ムード歌謡、というものなのでしょうか(あまりそういうのが分からないおじさん)。ムード歌謡がそうなのかは分かりませんが、この曲にはハワイアンのイメージがあるのですよね。でも歌詞は江ノ島に片瀬川と実はお久しぶりのご当地ソングなのですよね。「悲しくて酔えないこともある 涙を浮かべた水割りのせいだよ」のフレーズがとても大好きでして…。「Young Love」の後に出た「01MESSENGER~電子狂の詩〜」のB面曲だったではないですか。何と申しましょうか…Young Loveという「若さ」では出せなかった「おじさんの哀愁」のようなものが新しい、といいますかメンバー全員が不惑となった「リアルなサザン」感があったように思うのですよね。「私の世紀末カルテ」も近いものがあるのかもしれませんが、そういった、リアルさ、不惑さが「哀愁のサザンオールスターズ」というまた新しい1面を作ったのかもしれませんね。
桑田さんも敬愛する前川清さんもこの曲をカバーしていますね。しかもプロデュース・編曲は斎藤誠さんですから、ほぼサザンみたいなものですね(?)。といいますか前川清さんに提供する為に作られたようなカバーになっていますのでこちらも必聴でございます(ビートたけしさんバージョンも音源化待っておりますよ(それ用にレコーディングされているバージョンがあるのかは分かりませんが))。
ライブでは
茅ヶ崎ライブ~あなただけの茅ヶ崎~(2000年)
・真夏の夜の生ライブ~海の日スペシャル~(2004年)
・キックオフライブ2018「ちょっとエッチなラララのおじさん」(2018年)
と披露されていますね。6月末のラララのおじさんは夏と言うには微妙ですが、夏の単発ライブで演奏される傾向がありますね。面白いのはこの3回とも演奏に入る前に桑田さんが「好きな曲」と紹介してから演奏が始まるのですよね。いや、もうそれ大好きではないですか。もっとライブで演奏しても良いのよ(?)(大いなる個人的願望)。
発売当時公式サイトで行われたさくら人気投票では13位

 

15.(The Return of)01MESSENGER~電子狂の詩~(Album Version)

明らかにこれまでとは違う新しいサザンへの挑戦、という思いが色濃く表れているのではないのでしょうか。それが前年までの所謂「Young Love」期までの活動とあまりにも差を付けすぎたこともあったのか、それをこのアルバム「さくら」まで引きずってしまった感がありますね。ある意味「さくら」というアルバムを象徴した曲ともいえるのかもしれません。
パソコンやネットに対する危機感はこの12年前に発売されたアルバム「KAMAKURA」に収録されている「Computer Children」の世界観に近いものがあるように思います。もちろん12年経ってアップデートされているところはありますが。
桑田さんはインタビューで「レコーディングを終わらさないこともできる可能性のある曲」と述べていて歌詞もアレンジもいじり倒せると。シングル版はもう完全に古くなってしまった、リリースの段階でも既に古くなっていたという反省があったとも話しています。ただこれはある意味でパソコン・インターネットの発達の流れとも繋がる気がするのですよね…。どんどん新しい機種が出て、アップデートされている…。そのスピードについていけない方がいるのと同じでそういったネットをテーマにした曲に対して古さを感じるというのが何ともシンクロ感があるといいますか、そういった世の流れに流されながらも世に居続けるサザン(桑田さん)という存在だったりを重ねられるというといいますか…。
ちなみに2000年になったらまた新しい形で世に出すと思います。とも話していましたが、ご存じの通りそちらは実現せず。
ライブでは
・おっぱいなんてプー(1997-98年)
・スーパーライブin 渚園『モロ出し祭り~過剰サービスに鰻(ウナギ)はネットリ父(チチ)ウットリ~』(1998年)
・Se O no Luja na Quites(セオーノ・ルーハ・ナ・キテス)~素敵な春の逢瀬~(1999年)
・おいしい葡萄の旅(2015年)
と演奏されていますね。2000年以降のニューバージョンを示唆しながらもセオーノ以降はライブからも遠ざかり…という状況となっていましたが、「おいしい葡萄の旅」で16年ぶりに演奏となりました。この時に自虐も込めてか「ライブの感想でいらないと言われてしまうコーナー」と始まった中の1曲として披露されていますね。「でもやりたい曲」ということも話していましたし、あれはきっとアップデートされた2015年の、まさに「(The Return of)」01MESSENGER~電子狂の詩~、だったのでしょう、きっと。
発売当時公式サイトで行われたさくら人気投票では14位

 

16.素敵な夢を叶えましょう

この曲も編曲が島健&サザンオールスターズの名義となっていますね。先に島健さんの名前がありますので、「マイ フェラ レディ」と同じく島健さん主体の編曲だったことが窺えますね。ちなみに前回のアルバム「Young Love」のラスト曲である「心を込めて花束を」は編曲にサザンのクレジットがなく、ピアニストの宮川泰さんの名があるように、2作続けてアルバムのラスト曲は少しテイストを変えた、といいますかサザン主導にしていないというのが興味深いですね。
歌詞に「耳を澄ませば風のSaxophoneが泣いている」とあり、その後に間奏でサックスが入りますが、これについて島健さんは、まだ歌詞が出来てないサックスセクションが間奏に欲しい、と桑田さんからあったそうですが島健さんとしてはサウンド的に唐突感があったようで、それでも桑田さんからの要望ということでそのアレンジをレコーディングした際にプレーヤーにも戸惑いがあったらしいのですよね。そこで桑田さんにサックスセクションがある必然性のある歌詞にして欲しい、という話をしていてあの歌詞が生まれた、ということがあったそうです(2010年11月27日夜遊びより)(私の要約は下手ね…)。
遠い昔、もう17〜8年前になりますでしょうか…。動画サイトにこの曲の動画がアップされていた時にコメントの1つで「サザンの夢って何だったんだろうね」という一言があったのですよね。その一言が印象に残っていまして…。確かに「お互い素敵な夢を叶えましょう」なのですよね。サザン側から見ての聞き手(ファン)の夢を叶えましょう、というメッセージはラストの「南十字に戯れる星座(ほし)に願いを」でわかりますが、聞き手から見たサザンの夢、というのは興味深いといいますか…。こういったところから私のアホらしい考察をしてしまう病のきっかけになったのかもしれませんね…と今更ながらに。
その動画がアップされていたライブでもある
・Se O no Luja na Quites(セオーノ・ルーハ・ナ・キテス)~素敵な春の逢瀬~(1999年)
の1度きりの披露となっていますね。この時春のツアーということもあるのか、「暗い夜空にまたひとつ秋が流れた」の「秋」を「春」にして歌っておりました。
何と申しましょうか…。20周年の夏ライブであった「スーパーライブin 渚園『モロ出し祭り~過剰サービスに鰻(ウナギ)はネットリ父(チチ)ウットリ~』」のラスト曲であった「旅姿六人衆」、そしてその20周年に発売されたオリジナルアルバム「さくら」のラスト曲であり、その20周年の集大成といえますセオーノツアーのラスト曲となったこの「素敵な夢を叶えましょう」…。時代がどんなに変わっても、それまでのサザン(の集大成)と新しいサザンというある種対比されるライブの中でも、ファンやスタッフといった自分たちに関わっている全ての人への「感謝」だけは変わらない…そしてそれは今も同じである…というのがとても伝わってくるのですよね…。
発売当時公式サイトで行われたさくら人気投票では4位

 

アルバム前後のシングル曲編

1.世界の屋根を撃つ雨のリズム

シングル「BLUE HEAVEN」のB面としてリリースされました。
発売前に、ネット配信企画「01MESSENGER」では「トルコ行進曲とは似ても似つかない音楽」という仮題で披露されていましたね。歌詞も出てくるフレーズで同じものはありますが、完成版とは「似ても似つかない音楽」でしたね(?)(言いたいだけシリーズ)。企画「01MESSENGER」が8月で「BLUE HEAVEN」が11月のリリースですから、この放送の後、1~2ヶ月で変わっていった…というのが興味深いといいますか、その間について考えますと面白いと思ってしまいますね。
歌詞は基本的に語感を重視したような一見意味は無いような感じになっていますね。その中で1ヶ所「僕を見て、絵に描いた僕の家、 誰も知らない雲の上、踊ろう」というフレーズだけは意味がありそうなセリフ風になっている部分がありますね。歌詞全体を見ますと「僕」はここでだけ使われており、それ以外は「我は」「俺と」という一人称になっているのですよね。別人なのか、はたまた同じ人物で「僕」は過去の自分のことなのかもしれません。どちらにしましても「僕の家」は世界の屋根を撃つ「雨」が降る更に上にあるということになりますし、「家」は天国や希望、夢といったポジティブなもので、それを拒むように降る「雨」がサビに出てきます、「贈賄」「収賄」「狂乱」などといったネガ寄りな単語を指し、それが屋根(自身や住む世界)に降ってくる、というような意味を持っていたりするのでしょうか…。…もしかしたら所謂クスリによる幻覚だったりするのでしょうか…。前作のアルバム「Young Love」では「マリワナ伯爵」というストレートなタイトル曲を作っていたので、敢えてそうとも取れるような曲にしたのかもしれません(100%妄想ですが幻覚は見ておりません(?))。
ライブでは
・おっぱいなんてプー(1997-98年)
・ほぼほぼ年越しライブ2020「Keep Smilin’〜皆さん、お疲れ様でした!! 嵐を呼ぶマンピー!!~」(2020-21年)
の2度、いずれも横浜アリーナでの年越しライブでの披露となっていますね。しかも中盤から終盤の煽りコーナーの間といいますか、ポジションも割と似たようなところにいるのがまた面白いですね。
個人的にはアウトロが「マンピーのG★SPOT」のライブ版で披露されるイントロ前のOvertureに似ているように感じておりまして、世界の屋根→マンピーの流れがいつかライブで演奏されないかしら…と密かに思っております。
そういえばシングルA面の「BLUE HEAVEN」もライブにおいては関東から出たことのない曲となっていますが、こちらは横浜から出ていないと、更に狭い世界にいるのですよね。つまり世界の屋根とは横浜アリーナの屋根のことだったのです(?)(オチがBLUE HEAVENと同じでいいのか)。

 

2.イエローマン~星の王子様~

「Se O no Luja na Quites(セオーノ・ルーハ・ナ・キテス)〜素敵な春の逢瀬〜」のツアースタート(3/24)とほぼ同時のタイミングでリリースされました(3/25)。
結果的にはサザンの90年代シングルの中では1番売れなかったことで(約10万枚)、売れなかったシングル、だけどライブでは盛り上がる定番曲となった…といった曲になりますでしょうか。ちなみに2005年の再発盤によって売り上げが10万枚に届いたということです。
歌詞は桑田さんが風邪(インフルエンザだったような)になった際に書かれたらしいですね(締め切りの関係でそうなったらしい)。
曲を作る際に「この曲で東京ドームの5万人が手を振るシーンが頭にあった」ということですが、きっちりそういった曲に仕上がっただけでなく、現在まで4度行われたドームツアーのうち、実に3回披露されていますし、セオーノの時だけでなくドームツアー向けの曲として定着しているのが流石といいますか、昔何処かで見ました「世紀末の勝手にシンドバッド」というのをまさに表わしているように思うのですよね。
サウンド面ももちろん「さくら」の続編といいますか、その流れの中で作られた曲という感じはありますが、「さくら」の繊細さの中にもう少し自由さ、良い意味でのお遊び感が漂っているように思えるのが違いといいますか、イメージのサザンに近付いた感じがありますね。
タイトルの「星の王子様」は、さくらのラスト曲である「素敵な夢を叶えましょう」の最後のフレーズ「南十字に戯れる星座(ほし)に願いを」にかけたところもあるのでしょうか…(「星座(ほし)」→「星」=ファン、その王子様(南十字)(憧れ・愛すべき存在)=サザン的な)。
ライブでは、
・Se O no Luja na Quites(セオーノ・ルーハ・ナ・キテス)~素敵な春の逢瀬~(1999年)
・晴れ着DEポン(1999-2000年)
茅ヶ崎ライブ~あなただけの茅ヶ崎~(2000年)
・ゴン太君のつどい(2000-01年)
・SUMMER LIVE 2003「 流石(SASが)だ真夏ツアー!あっっ!生。だが、SAS!」〜カーニバル出るバニーか!?~(2003年)
・真夏の夜の生ライブ~海の日スペシャル~(2004年)
・みんなが好きです!(2005-06年)
・ひつじだよ!全員集合!(2014-15年)
・“キミは見てくれが悪いんだから、アホ丸出しでマイクを握ってろ!!”だと!? ふざけるな!!︎(2019年)
更にイベントではありますが
・伊豆だらけのローラ(2000年)
で披露された公演もあったようですね。
野外ライブでも演奏されていますが、どちらかといえばドームツアーや年越しライブなど室内の公演で披露されることが多いですね。「“キミは見てくれが悪いんだから、アホ丸出しでマイクを握ってろ!!”だと!? ふざけるな!!」のように、モニターでの黄色演出だったりと室内だからこそより映える演出がしやすい、といった要素があるのかもしれませんね。
この翌年の「HOTEL PACIFIC」もそうですが、この時期の間近のライブの為に作られた曲が、そのライブ限定でなく、その後の定番として残り続けているところが実は1番凄いところだったりするのかもしれません。

 

3.夏の日のドラマ

イエローマン〜星の王子様〜」のB面にして、ドラムの松田弘さんがボーカルを取った曲になりますね。弘さんがボーカルを務める曲はシングル「太陽は罪な奴」のB面である「君に贈るLOVE SONG」以来、約3年ぶりですが、「君に贈るLOVE SONG」は弘さんの作詞作曲ソングであり、桑田さんが作った曲のボーカルを務めるのは1982年のシングル「チャコの海岸物語」B面の「翔(SHOW)〜鼓動のプレゼント」以来17年ぶりとなります。これは当時の宣伝の1つにもなっていましたね。何と申しましょうか…。チャコの海岸物語イエローマンも色物寄りといいますか、そういう扱いをされる曲でもあるではないですか…。そういうクセのあるA面だからこそ、B面は爽やかなハイトーンボイスを持つ弘さんボーカル曲を収録することで、バランスを取るというような効果を狙ったのかもしれませんね。
その弘さんボーカルに合わせるかのように、曲調も爽やかな、この「さくら」の時期では珍しいラブソングに仕上がっていますね。この2年前には弘さんのミニアルバム「DRMS」がリリースされていますが、このアルバムは全編ラブソング、といいますか男と女の物語といったアルバムですので、もし「DRMS」に桑田さん提供曲があったら…という見方も出来るのではないのでしょうか。
ライブでは、
・ゴン太君のつどい(2000-01年)
で披露されていますね。「バラッド3~the album of LOVE~」に収録された、というのも大きいかと思いますが(そういえばバラッド3ですと「TSUNAMI」と「LOVE AFFAIR~秘密のデート」の間というとんでもないところに収録されていますね)、やはり20世紀と21世紀という世紀を跨ぐ年越しライブというのもありましたし、桑田さん以外のメンバーボーカル曲も改めてライブで披露しよう、というのもあったのかと思いますね。ちなみにサザンのライブで「松田の子守唄」以外に弘さんボーカル曲が披露されるのも(公式サイトで確認出来る限りでは)、この時の「夏の日のドラマ」が唯一という(「平和の牛歌」などは除く)、そういった意味でも実はかなりレアなケースだったりするのですよね。

 

ブログ用おまけ

1.涙の天使に微笑みを

サザンのサナカ(露骨な暮れのサナカオマージュ)にリリースされた原さんソロ6年ぶりのシングルですね。シングルがリリースされた1997年は関口さんがアルバム「UKULELE CALENDAR」、弘さんがミニアルバム「DRMS(ディルムス)」とそれぞれがソロ作品を出していますし、サザンと並行しながらソロも作っていたというのは、また興味深いといいますか、サザンとソロ作品が互いに刺激し合っているような感がありますね。そういえば桑田さんが早川義夫さんに「アメンボの歌」を提供したのもこの1997年でしたね。こう考えますとまた興味深い1年だったといいますか…。
曲はさくらサウンドといいますか、繊細さを感じますね。アルバム「さくら」に収録されました原さんボーカル曲である「唐人物語(ラシャメンのうた)」もそういった雰囲気を持ったサウンドの曲という感じがありますし、さくらのアルバム曲の1つに「涙の天使に微笑みを」がサザン曲として存在した世界線があったのかもしれませんね。とはいえ唐人物語が歌詞に「桜」とあるように春の曲、こちらは「秋の日に鳴らす口笛」と「秋」という単語があるように秋の曲(リリースも11月ですね)と、そういった季節の対比に結果的になっているのも不思議な縁があるといいますか、さくら期らしいといいますか…。

ネット配信企画「01MESSENGER」では原さんと俵万智さんとの対談があり、その中で「最初歌詞は原さんが書いたのかと思った」という発言がありました。私も最初そう思いましたが、「星屑砂漠」や「面影ワルツ」は桑田さんぽい…と感じたことを思い出してしまいました。
所謂朝ドラ「甘辛しゃん」の主題歌となりました。これ以降、原さんを原しゃんと呼ぶ方が増えたとかそうでもなかったとか…(?)。
ライブでは
サザンでは
・スーパーライブin 渚園『モロ出し祭り~過剰サービスに鰻(ウナギ)はネットリ父(チチ)ウットリ~』(1998年)
ソロでは
・Mothers' Love(1999年)(イベント)
原由子スペシャルライブ2023「婦人の肖像(Portrait of a Lady)」(2023年)
とサザンとソロ両方で演奏されていますね。1998年の渚園でも披露されていますが、基本1曲目披露の原さん枠をサザン名義ではなくソロ名義にしてしまうのもたまにあることではありますが、20周年ライブという周年でサザン名義ではなくソロ、というのが変化球、ではありませんが一筋縄ではいかない、といいますか、どこかこの時期、そしてこの翌年までのサザン自身を投影している選曲にも見えてしまうのですよね…。
ただサウンドから見ますと「さくら」ですし、次の「CRY 哀 CRY」から始まるコーナーを考えますと、この曲になるかしら…というのも同時にあったりするのですよね。

 

以上でごさいます。…しれっと1曲おまけが増えていますね。まあ単行本になる時にはそういったものが必要になりますから(?)。

さてうっかりと思い付きで始めてしまいました、この機会もようやく終了でごさいます。

なんだかんだで続いてしまいました。でも大変なのでもうやりません(?)(誰も望んでいないから大丈夫よ)。

最後に自分自身に一言だけ言わせて下さい。(勝手に設定したとはいえ)3日に1度の更新を19曲分続けたあんたは(多分)偉い(たまにはそういうことを言いたいおじさん)。