適当文集

140文字でも書けそうな事を引き延ばして雑に書くところ

現代東京奇譚のライブにおけるポジションが好きなのよ、という雑文

現代東京奇譚、好きなのです…(のっけからレッツゴーボウリングみたいな一文ね)。

これまでライブでは、2008年「Act Against AIDS 2008「昭和八十三年度!ひとり紅白歌合戦」」と2012年「I LOVE YOU -now & forever-」の2度演奏されていますね。それが多いのか少ないのか…は今回置いておくとしまして、この2度の登場がまた絶妙な配置だったのでは…と個人的に思っておりまして、今回はその辺りを何とか言語化してみようと思った次第でございます。

 

まずはライブ初登場となりました「昭和八十三年度!ひとり紅白歌合戦」から振り返ってみましょう。

第1回ひとり紅白では45曲目、「いい日旅立ち」と「少女A」の間で歌われました。

何と申しましょうか…。この最初のひとり紅白は2回、3回とは少しだけテイストが違う、といいますか対決形式が、その後と比べると若干濃いめな感じがありまして…。

コーナーではなく個で見ますとその中で「現代東京奇譚はvsいい日旅立ち」という構図になっていますね。となりますと=桑田佳祐の対戦相手は山口百恵ということなのですよね。何と申しましょうか…。一人で紅白を再現する、というコンセプトの中で唯一自身の登場、というのがまだ当時ソロでの本家紅白出場をしておらず(後の2010・2017年に出演)、いい日旅立ちも本家紅白では披露されていない、というまさに「夢」の組み合わせとなっていますね。

またサザンのデビューから山口百恵引退までの時期が被ったのは約2年ほどで、雑誌「明星」の表紙で共演などといったことはありましたが、そのアイドルと学生バンド、というところで止まっていた時間が約30年の時が経ち、(勿論桑田さん一人での披露なのですが)リスペクトしつつも共に一人歌手として勝負しているような雰囲気を何処か感じてしまうのですよね…。

現代東京奇譚終了後に、当時のエイズの状況が映像で流れるというのが、「夢」から「現実」に引き戻されるといいますか、原さんと弘さんによる「3年目の浮気」で一度舞台裏へ下がった桑田さんがステージに戻ってきてのこの2曲披露でしたから、独立したコーナーとして強調されたところだったと思えてしまうのです。

後に持ち曲枠として、第2回の「おいしい秘密」が、ヅラ山田洋とクール・ファイブ(内山田洋とクール・ファイブ) feat.桑田佳祐という形で「東京砂漠」とのメドレー形式での披露、第3回の「100万年の幸せ‼︎」が「YOUNG MAN(Y.M.C.A)」(あの繋ぎですと「ひこうき雲」も入ってくるかと思いますが)からの流れで、終盤の所謂煽りの中で1つ追悼コーナーでの披露、という趣きがあり、この2回がどこか1つの流れに組み込まれているように見える中で、第1回というある種の特殊性もあるのか現代東京奇譚は「個」としてどうしても思えてしまうところがあるのかもしれません。

そもそも、いい日旅立ちで歌われる道連れにする曲が実は現代東京奇譚だった、と思うとまた面白いといいますか、既に1つの物語という流れになっていたのかもしれませんね。

 

もう一つの演奏したライブである「I LOVE YOU -now & forever-」を振り返ってみましょう。

14曲目、「声に出して歌いたい日本文学」と「白い恋人達」の間で歌われました。

ひとり紅白がイベントのライブとすれば、ソロライブでの演奏は実質これが唯一ということになりますね。

何と申しましょうか…。このライブでの現代東京奇譚は何処か声に出して歌いたい日本文学という様々な日本文学の世界を覗いた組曲であり、約20分に渡る1つの物語のエンディングである種の続きとして並んでいるように思えてしまうのですよね…。もしくは近代史の作品から作られた世界から現代に引き戻す鍵といいますか、ある種のフィクション物語から現実に戻して来る、リアル(現在)の二面性といいますか、フィクションとリアルの狭間にいるのが、桑田佳祐であり現代東京奇譚である、といいますか…。

そんな現代東京奇譚という曲が、「闇の子供たち」という文学作品であり映画化の際に桑田さんへ主題歌の依頼があり作品を見た上で書き下ろした曲である、というのがまたどこかこの曲が日本文学の系譜に繋がっているようにも思ってしまいますね。故に声に出して歌いたい日本文学というI LOVE YOUツアーの中核であり、大きなチャレンジでもあった曲の次に持ってくる曲として選曲されたのではないのでしょうか。

 

桑田さん自身がどう思っているのかは分かりませんが、現代東京奇譚という曲はライブにおいて前後の曲に何を置くか、というのが難しめな曲だと思うのですよね。だからこそ、ここ一番(ひとり紅白で唯一の持ち歌披露)・曲のパワーが強い曲の後ろ(I LOVE YOUツアー)という限られた場面での登場、という役割になっているのかしら…と。

またこの2回の披露が、共に赤を基調とした服装に着替えてだった(ひとり紅白はいい日旅立ちから、ではありますが)のは偶然だったのかもしれませんけど、「愛し合う悦びを 誰かと分かち合い この命燃やすのは 赤い血の如き涙」のフレーズにある赤い血の如き涙をまさに桑田さん自身が表わしていたのかもしれませんし、もっと単純に紅白だから(ひとり紅白で中のシャツは赤と白だった)、次が白い恋人達で、まさに紅白を、という流れから冬(曲)に赤でサンタクロース、という連想だっただけなのかも知れませんが、どこかで現代東京奇譚のイメージカラーが「赤」になっていたのでは…と考えると面白いなあと思ってしまうのです。



とまたこう思ってはいるけど、書いてみるとやはりちゃんと言語化しきれていない雑文シリーズ(?)となってしまいました。

どうか、そういう事を考えてしまう程度には好きな曲なのね、と嗤って下さればと思います(?)(久々にこういう締めの文にしてしまった)。